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ロイヤル&スレイヴ!

第2章 1.ここが土鈴学園

「あ……えっと」

「猛。番谷 猛(つがや たける)」

「番谷くん?」

番谷くんについていきながら、楯無先生やクラスの子が口にしていた「番谷」というワードが頭をよぎり、そして結びついた。

「どうかした?」

「私、番谷くんと席、隣なんだ。朝からどんな人なんだろうってずっと気になってたの」

「転入してきて隣の席にカバンだけ置いてあったから、びっくりしたっしょ?」

番谷くんはそういって、いたずらっ子のように笑う。

「びっくりはしたけど、でもいい人だろうなぁって思ったよ?」

階段を降り、今朝通ってきた道を逆走する形で靴箱にたどり着いた。

靴を履いて、お互いドアの前で待ち合わせる。

自動ドアが開くと、春のあたたかな日差しと午後の穏やかな風が心地いい。

「いい人?」

話を続けながら歩いていたので、番谷くんは不思議そうな顔をしてこちらを見た。

「うん。だって先生も番谷くんのことを話したクラスの子も、番谷くんのことを話す口ぶりに悪意がなかったもの。怖い人や嫌な人だったら、もっと迷惑そうに話すかなって思いながら聞いてた」

「へぇ……」

「……なんて、転入してきた私が偉そうにクラスのこと話すのも変なんだけど……」

「いや、すげぇな。お前。俺、そんな風に周りみたことなかった」

まっすぐな番谷くんの言葉に、私は思わず赤面してしまった。

偉そう、気取ってるとは思われても、まさか凄いといわれるなんて。

「じゃ、案内らしいことしとくか。まぁ、正門の場所とこの校舎来る道と、本館の場所さえ把握してたら大丈夫だと思う」

番屋くんはそういって、今朝楯無先生と通ってきた道を歩く。
お昼ご飯時なので、遊歩道に備え付けのベンチやちょっとした広場には、生徒たちが腰掛けてお弁当を広げていた。

学校というよりはおしゃれな公園っていう雰囲気。

いいなぁ、お弁当広げて外で食べると、気持ちよさそう。

「とりあえず、飯食いにいこっか。どこに行きたい?」

どこに行きたい、と聞かれて私はきょとんとしてしまう。
選択肢があるのですか?

「学食は、本館1階にビュッフェ形式のとこと、食券形式のとこがあるかな。外で食いたいならコンビニかパン屋で買えるし」

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