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ロイヤル&スレイヴ!

第2章 1.ここが土鈴学園

「へぇ……すごーい!」

食堂、きっと豪華なんだろうなという想像はつく。

「よっし、んじゃ今日のとこは俺が行きたいとこな」

そういうと、番谷くんは食券の方の食堂へ連れて行ってくれた。

私じゃ迷って決められなかったから、彼の即決はとってもありがたかった。




「いつも登校してくるときに通るのは正門ね。正門には守衛の人立ってたでしょ。んで、すぐ傍に警備棟と事務局がありまーす。事務局はいろんな申請用紙とか備品の管理してるからちょくちょく行くことになるかもな。
事務員のおねーさんがめっちゃ綺麗なのもポイント」

番谷くんは大盛りのカレーライスを頬張りながら、パンフレットの地図を指差す。

お昼ご飯に立ち寄った食堂には校内放送のラジオが流れていた。

DJをつとめている女性の軽快かつ流暢なトークが心地いい。

FMラジオを引っ張って流しているといわれてもおかしくない、クオリティの高さ。

「飯終わったら、特別棟な。たぶん、授業の移動とかで一番使うだろうから」

「しばらくパンフレットの地図手放せそうにないかも。この学校、ほんと広いんだね」

「転入してきたばっかだろ。わかんないときは俺に聞いてくれたらいいからさ」

そういいながら、コンビニで買ってきたと思われるカップのアイスクリームのふたをあける番谷くん。

私はデミグラスソースがたっぷりかかったオムライスを食べながら、周りを見渡した。

皇城くんのときもそうだったけど、番谷くんも女の子の人気が高いみたい。

食堂に入る前も、席についた後も、視線を送ってくる女の子は相当の人数だった。

こんなに注目を集めるなかで生活するのも大変なんだろうなぁ、なんてわからないなりに想像してみる。

「ありがと、番谷くん」

「お礼言われるほどいいことしてねえし。普通普通。それよりさ」

番谷くんはチョコミントを一口、頬張ってからこっちを見た。

「未結ってよばせて?」

「へ?あ、うん」

「よし。じゃあ、俺のことは『猛』ね、はいけってーい」

「えぇ!?」

碧の目が楽しそうに動く。

自慢にもならないけど、仲のいい男の子なんていなかったし、友達を作るのには時間のかかるタイプだったので、男の子を名前で呼んだことなんてない。
それもあって、今朝の皇城くんに言われたときも名前呼びを躊躇したというのに。

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