
ロイヤル&スレイヴ!
第2章 1.ここが土鈴学園
「席も隣同士、んでもってこうやって一緒に飯食って。名前で呼び合うには十分だと、思うけどなー?」
それって、友達になれたってこと?
そううぬぼれてもいいのかな。だとしたらすっごく嬉しいんだけど……。
「……あの、ね。友達になれたって思ってもいい、の?」
自分的渾身の勇気を振り絞った一言。
恥ずかしい気持ちが大きくて、語尾が小さくなっていくのが情けない。
「モチ。俺はそのつもり」
ためらいなくうなずいて笑う番屋くん。
こんな近くで100点の笑顔を見ることができるなんて、私は大分運がいい子なのでは。
「――んじゃ、そろそろ行きますか」
無理強いというかしつこく話題を押し付けないスマートさが、同い年とは思えない大人の振る舞いで、かっこいいなと思ってしまう。
番屋くんと一緒に、食べ終わった食器をカウンターまで返しに行って、食堂を後にした。
せっかくの機会なんだし、思い切って名前で呼んでみよう。
「――猛くん」
「はーい」
よくできましたー、と猛くんは大きくてあったかい手で、私の頭をなでてくれた。
「んじゃ、特別棟ね。行くまでは結構簡単。道通りに歩けば良いし、食堂から出て目に付く建物が特別棟だし。問題は中。広いし教室の並びが一階から三階までほぼ一緒という、迷路になっておりまーす」
バスガイド風に片手を校舎に向けて説明する猛くん。
お茶目な動作に思わず笑ってしまった。
「この学校、もともと迷路だよ」
そういうと、猛くんは「確かに」と笑ってくれた。
「全部の教室見て回ってるとしんどいし、よく授業で使うとこだけ行くな?」
もちろんかまわない、という意味でうなずく。
というか、私の頭では特別棟にある教室の位置関係を一日で把握することはまず、不可能だと思う。
「よし、まず一階の――」
「たーけーるーーっ!」
突如、特別棟のさらに向こうの方からこちら、というより、猛くんをめがけて走ってくる小さな影が。
「何してるのっ」
小さな影はぴょん、と猛くんの背後へ抱きつく。
軽やかに猛くんの背に抱きついたのは、鮮やかなオレンジのテニスウェアを身にまとった、可愛い女の子だった。
それって、友達になれたってこと?
そううぬぼれてもいいのかな。だとしたらすっごく嬉しいんだけど……。
「……あの、ね。友達になれたって思ってもいい、の?」
自分的渾身の勇気を振り絞った一言。
恥ずかしい気持ちが大きくて、語尾が小さくなっていくのが情けない。
「モチ。俺はそのつもり」
ためらいなくうなずいて笑う番屋くん。
こんな近くで100点の笑顔を見ることができるなんて、私は大分運がいい子なのでは。
「――んじゃ、そろそろ行きますか」
無理強いというかしつこく話題を押し付けないスマートさが、同い年とは思えない大人の振る舞いで、かっこいいなと思ってしまう。
番屋くんと一緒に、食べ終わった食器をカウンターまで返しに行って、食堂を後にした。
せっかくの機会なんだし、思い切って名前で呼んでみよう。
「――猛くん」
「はーい」
よくできましたー、と猛くんは大きくてあったかい手で、私の頭をなでてくれた。
「んじゃ、特別棟ね。行くまでは結構簡単。道通りに歩けば良いし、食堂から出て目に付く建物が特別棟だし。問題は中。広いし教室の並びが一階から三階までほぼ一緒という、迷路になっておりまーす」
バスガイド風に片手を校舎に向けて説明する猛くん。
お茶目な動作に思わず笑ってしまった。
「この学校、もともと迷路だよ」
そういうと、猛くんは「確かに」と笑ってくれた。
「全部の教室見て回ってるとしんどいし、よく授業で使うとこだけ行くな?」
もちろんかまわない、という意味でうなずく。
というか、私の頭では特別棟にある教室の位置関係を一日で把握することはまず、不可能だと思う。
「よし、まず一階の――」
「たーけーるーーっ!」
突如、特別棟のさらに向こうの方からこちら、というより、猛くんをめがけて走ってくる小さな影が。
「何してるのっ」
小さな影はぴょん、と猛くんの背後へ抱きつく。
軽やかに猛くんの背に抱きついたのは、鮮やかなオレンジのテニスウェアを身にまとった、可愛い女の子だった。
