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ロイヤル&スレイヴ!

第3章 2,学園生活スタート。

猛くんが屋上の扉を開けてくれたので、外に出る。

目の前に広がっていたのは、
コンクリートむき出しの殺風景な屋上、ではなく。

緑だった。

小さな花が咲いたアーチもある。

花壇も。

吹き付ける風は日差しと混ざり合い、心地よくて。
空気が澄んでいるみたい。屋上というよりは空中庭園みたいだと思った。

「お、きたきた。こっちー!」

滝くんが場所を押さえてくれていたみたいで、
私たちを呼んでくれた。

木製のテーブルに丸イスがそろったまさに特等席。

駆け寄って、上を見上げてみれば、葉の間から木漏れ日が差し込んでいた。

柱同士を支える鉄棒にまで伸びた、さまざまな種類のツタと葉たちは、

ちょうどいい具合に日差しを凌いでくれる日よけにもなっていた。

「ここ、いいところだね」

「でしょー。あんまり人も来ないし、外だし、気持ちいいし」

得意げに笑う滝くんは、テーブルにあったシルバーの小さなトートバッグから

同じ色のお弁当を取り出し、広げ始める。

フタをあけるとそこには、色とりどりの具材が鮮やかなサンドイッチが入っていた。

「おーおー。相変わらずすげぇなお前の弁当」

猛くんはちらりと目をやり、慣れた様子でうなずく。

やっぱり、お金持ちの人って用意してもらうお弁当も豪華なんだなぁ。
なんて、感心してしまう。

「へへっ。自分で作ると好物ばっかり入れられるから楽しいぜー」

「え、これ滝くんがつくったの!?」

声が飛び出る、とはまさにこのことだと思った。

だって、すっごくおいしそうだし、なんだか盛り付けもすごく凝ってて、
お店のメニューみたいだもの。

「意外だよな。こいつめちゃくちゃ料理うまいんだよ。
寮の食事とか大抵こいつだし」

「意外ってなんだよー」

確かにお料理得意な高校生の男の子、しかもお金持ちの。

っていう肩書きは意外かも。

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