
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
「できれば、またの機会に……」
「いやん、なんだかガード高いぃ。いいねいいね、俺しっかりしてる子好きよー」
キィ、と車輪が床を転がる音がした。
彼が椅子を手繰り寄せて腰掛けたからだ。
膝の上で組まれた手、指先。
リラックスした姿なのに、座っているだけだというのになんて絵になる人なんだろう。
なんて、目を奪われている場合ではなかった。
「あの…ご用件は…」
「ご用件は未結チャン。やっと会えた。まじめっちゃ俺会いたかったんだから」
「……はい?」
拾ったきり手の中にあったシャーペンは、またもやするりと滑り落ちる。
今度はノートの上で止まってくれず、そのまま転がり続けて床へ落下してしまった。
私に会いにきた?
「なんで、って顔に書いてある。もー、有名ですよん。
新学期に舞い降りた二年生!
清純可憐なニューフェイス斎宮未結!って。
特に男共の間では連日話題持ち切りなんだから」
床に落としてしまったシャーペンを拾ってくれた男の子は、
はい、と渡してくれると共にとんでもない噂話まで教えてくれた。
それって伝言ゲームでよくある典型的なアレでは、と思わずにはいられない。
人と人とで伝わっていくうちに話に尾ひれがついてっちゃうっていう……。
