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ロイヤル&スレイヴ!

第2章 1.ここが土鈴学園


トロイ、遅い、どんくさいの三拍子そろった私に機敏な反応ができるはずもなく、
せっかくの警告は硬直したまま聞き過ごすこととなり、結果は見事にぶつかりあいっこに。

「ごめん!君、大丈夫?」

いきなりの衝撃にきゅう、と目をつぶっていた私は声がかけられたと同時に目を開いた。

視界には……男の子?

ゆっくり視点を動かして確認してみると、私の身体は芝生に倒れ、そして男の子が覆いかぶさっている。

一瞬にして頬に熱がともるのがわかった。

「だ、だいじょぶです」

必死で搾り出した声は、一言で精一杯だった。

「……そっか、よかった」

心配そうに顔を覗き込んでいた男の子がほっとした表情を浮かべた。

黒髪、というよりは少し濃い青、藍色の混じった髪に青い瞳がよく映えるこの男の子は、
雑誌やテレビの中から飛び出してきたような華やかなオーラがあった。

こんな子、いままで出会ったことがない。

そして、男の子自体に免疫のない私は、この体勢をどうすればいいのかわからなかった。

「あ、あの……」

私はどう言ってよいものかと悩んでいると、男の子も自分の体勢に気づいたのか、あっと慌てた様子で起き上がった。

「ご、ごめん!重かったよね!?――立てる?怪我してない?」

男の子は自分の砂埃を払うよりも先に、私の手を引いて起き上がらせてくれた。

幸い、芝生の上だったため頭をぶつけても衝撃は少なく、快晴の天気のおかげで制服が泥まみれになるということもなかった。

「ホント、ごめん。俺、恭介から逃げ回るのに必死で着地場所まで確認してなかったんだ」

「逃げまわ……る?」

朝から穏やかではないワードに私は首をかしげた。
すると、彼はえへへ、と小さな子供のように頭をかいて笑った。

無邪気な笑顔が可愛いな、なんて男の子には失礼かな?

なんてことを考えながら男の子が頭をかいているほうの腕をみると、擦りむいたのか血が出ていた。

「腕、血が出てる」

「え!?」

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