
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
「ハハッ、いいジャン!その真っ青なカオ、たまんねぇー!」
「つか未結ちゃんだっけ?東堂さんの言ってた通りめっちゃ可愛くね?」
「早くナかせたいよなァ」
「ばか、お前。東堂さんが先に決まってんだろ」
ケラケラと笑う誰かの声ではっとなる私。
この状況だというのに、一瞬意識をどこかへ飛ばしていたようで、
気付けば視界にあるのは明かりの灯らない蛍光灯と天井だった。
起き上がろうとしても全身は鉛でも入っているかのように、重たくて、動けない。
それに頭も、締め付けられているように痛い。
目だけは動くので、確認しようと視線を下せば、私の手足は男子生徒たちによって組み敷かれていた。
私の身体は、視聴覚室に並ぶ講義机の上に押し倒されていた。
「……ねぇ、斎宮さんって奨学金制度使って入ってきたよね。クイーンになりたいってこと?」
私の顔の真横に手をついた東堂くんは、ゆっくりと覆い被さりながらまた知らない単語を口にする。
「し、知らな…っ」
身体を支配する鈍い倦怠感とずきずきと続く頭痛で、気を抜くと今にも気を失ってしまいそうだ。
けれでも、ここで失神してしまっては何をされるかわからない。
それだけは絶対に避けたくて。
気力で答えると、東堂くんは一つ瞬きをしてから、あれ?と不思議そうな声をだした。
「いつもあの二人といるから、てっきり知ってると思ってたけど。ってことは、まだあいつらとヤったワケじゃないんだ?よかった」
吐き捨てられた言葉に、体温ががくんと下がった気がした。
にっこりと笑う彼からは、もう優しさなんて微塵も感じない。
「あの制度を使って入学するくらいだ、金銭面で苦労しているんでしょ?
俺のものになるって言えば、今すぐ何とかしてあげる。俺の家はこの学校に援助もしてるんだ」
眩暈がする。
嫌でも、彼の言わんとしていることを理解せざるを得なかった。
この人は、私に身体を売れ、と言っている。
