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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人


そして、ボタンを失ったブラウスの間から荒々しい手が滑りこむ。


「や、っ…ぁ…っ」

乱暴に揉みしだかれる胸は、彼の掌の中で形を変えていく。

興奮入り混じる力任せな手は、痛みと苦しさと不快さしかなくて。

私の口からは、呻く様なかすれ声が漏れた。

下着越しとはいえ、男の人に、身体を好き勝手にされている。

手足の自由も奪われ、不特定多数の視線が自分に注がれている。

屈辱で胸がいっぱいだった。


「可愛い…、はぁ…泣き顔もたまらないよ未結…」

荒々しい吐息で耳元に囁いてくる東堂くんの声で初めて気付く。

自分が涙を流していたことに。


頬を伝い、顎のラインを撫でるように流れては落ちていく、涙。


その涙の跡を撫でる生暖かい感触。

東堂くんの舌だった。

拒絶して顔を背ける私を、彼は悦ぶように口元を緩める。


「泣いてる顔もイイけど…乱れてるとこがみたいなァ。ここに集まってる奴らもそれを期待してるみたいだし」


いうや否や、残りのボタンも引き千切られる。

隠す布地を失い素肌が外気に触れた。


ついに胸元まで露わにされてしまう。


このままじゃ、私…。

自分の身に迫る危機に身体の震えが止まらなかった。


頬にまた、涙が伝う。



恐怖で声が出なくなる、というのは本当で、

叫びたくても膠で張り付けられたように喉が締め付けられて、悲鳴すら上げられない。




お願い。
誰か、助けて…!




ぐっと、目を瞑り一際強く願った時、だった。



「未結ーっ!」


私を呼ぶ、声。

この声は――。


何かを殴りつける音がして、それから、

扉が無理矢理引かれる時特有の引き擦るような摩擦音がした。

ガタガタと扉がレールから外れた音に、思わず顔がその音のした方へ動く。


瞬間、明るい光が差し込んだ。



祈りは、届いた。



私の視界の先、
そこには、差し込む光を背に受ける、5人の影があった。

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