
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
枠から外れた扉は、既に扉の役目を果たさず、大きな音を立て床に倒れる。
5つの影たちは、その倒れた扉を踏みつけて、入り口に駆け込んできた。
「な…っ!なんで、こいつら…!」
私を押さえ付けている生徒たちは息をのみ、狼狽の意を口々にし始める。
動揺しているのかその声は震えていた。
そして、そんな様子をあざ笑うかのように、5つに並ぶ影の一人はふん、と鼻を鳴らして笑う。
「そんなことどうでもいいんだよ」
きっぱりとした物言い、その一言に含まれた怒気に、教室内の空気は一層緊迫感で張り詰める。
耳馴染みのある声、だった。
だって、その声は、この学園で一番最初に聞いた声だったから。
けれど、もっと穏やかで優しくて、明るい声。
こんな風に一瞬で、その場を震撼させるほどの覇気なんて、彼には
――滝くんにはなかったハズなのに。
「――今すぐ未結から、どけ」
射貫くような鋭い眼光、それはまるで、獰猛な獣。
この人が、本当に私の知っている滝くん、なの……?
