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巡り会う恋心

第3章 初恋

「なんだ、翔大は算数が苦手なのか。あんなに面白い教科はないぞ?よし!俺がわかりやすく教えてやる。いいな?櫻井」


「そんな!……迷惑じゃないの?」

お父さんは困ったような顔で断ろうとしている。
ボクはこんなチャンスを逃がしたくなくて必死にお願いした。


「お父さん!お願い!ボク、龍平さんに教えてもらったらちゃんと勉強するから!お手伝いもするから!」


お願いします、と一生懸命頭を下げてるボクにお父さんは根負けしたみたいにため息をついた。


「しょうがないな…こんなに必死な翔大は初めてだな……そのかわり…龍平さんに迷惑かけるなよ。…………そんなに………か…」


ボクはお父さんが許してくれたのが嬉しくて最後に呟くように言った言葉を聞きそびれた。


……そんなに必死になるほど好きなのか…

この時のお父さんが何を考えてたのかボクにはわからない。でも、悲しいような苦しいような複雑な表情をしていたのは確かだ。






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