
姉さんは僕のお人形
第8章 拷問
幼なじみって色々便利だな、って思う。昔から一緒にいるからなのか、何となく相手の行動や意図が分かるんだよね
まあ、何が言いたいかと言うと
この、バカみたいに広い学校で
優斗を簡単に見つける事が出来る方法を知っているという事だ
私は、渡り廊下に向かって歩く
私の考えが間違ってなければ
多分、優斗はー…
「あ、いた…」
やっぱり優斗はいた
ボーッと外の景色を見つめている
これは優斗の昔からの癖なんだ
休み時間、教室にいない時や誰とも話してない時は、だいたい渡り廊下にいる
今も昔も変わらないなあ…
「ねえ、優斗」
「ん…あ、結衣か。どうした?」
私は、ポケットに入っていた映画のチケットを二枚取り出す
「映画のチケット、二枚もらったの。良かったら一緒に行かない?
優斗、この映画好きだよね?」
「おっ、この映画ずっと見たいと思ってたんだよな〜でも、これって男子向けだぞ?結衣は観ても面白くないんじゃ…」
「大丈夫だよ〜これ、結構好きだし」
嘘をついた。
本当はこの映画に興味はない
でも、どうせ演技だし
何でもいいよね…?
冷くんからの頼み事は…
「優斗をデートに誘う事」だし…
