
刻々と…
第4章 距離
「化粧品…臭い…」
マスターの顔がひきつっている
「一階は化粧品売り場ですから…ちょっとしょうがないかな…大丈夫ですか?」
様々な化粧品メーカーが入り乱れる店内は
香料の香りが充満していた
「買い物…何階なの?」
マスターが鼻をつまみながら言う
「三階です…ほんとに大丈夫ですか?顔が…青いですよ」
「え~そうでしょうね…青いです…俺もそう思います非常にそう思います…」
なんか…呪文みたいにつぶやいてる…
「エスカレーターあっちにあるから行きましょ」
焦ってしまうな…
やっぱり男の人なんだなぁ
男の人ってこういう匂い苦手なんだろうな
あたしはこういうもんだって慣れちゃってるけど…
「そうしましょ…そうしましょ…エスカレーター行きましょ…」
マスターはフラフラと付いてくる
