
刻々と…
第4章 距離
「あ、あそこです」
売り場の一角に小さな石鹸売り場がある
「お店の前だけ通ると石鹸しか置いてないように見えますけど
奥にシャンプーとかボディーソープが置いてるんです」
「あ、俺ここの匂い平気だ
ちょうどいいね」
「あ、すぐ買ってきますから」
「うん。ちょっと見ながら待ってるよ!ゆっくり見てきて!」
「はい、ありがとうございます」
「すみません。このシャンプーのセットください」
「かしこまりました。ご自宅用ですか?」
「はい。お願いします」
さっと会計を済ませると
マスターは私が買ったシャンプーのコーナーの前に居た
「お待たせしました」
「う~ん…高いね…あっ!」
「?」
レギュラーサイズのシャンプーの隣に置いてある
携帯用ミニサイズのシャンプーを手にとると
「弥生ちゃん!ちょっと待ってて!」
スタスタと会計に向かう
「これください!」
「ありがとうございます。ご自宅用ですか?」
「はい!」
オシャレな石鹸売り場に似つかわしくない
マスターの元気な声が響く
