
刻々と…
第2章 歯車
寒さのせいか近場の適当な居酒屋で
マスターと呑んだ
手を握られたせいか会話が入ってこない
ここ何年卓哉も手は繋いで来なかったな
なんかドキドキしちゃった
「弥生ちゃん!弥生ちゃん?」
「…ぁ、はい?ごめんなさい」
「話聞いて無かったでしょ?彼氏とはどうなの?上手くいってないんでしょ?」
「え?なんで…?」
「店に入ってきた顔でわかるよ!上手くいってませんって書いてたよ!」
「はぁ…まぁ…もう六年も付き合ってればそうなりますよ…」
「関係無いと思うよ…」
マスターが弥生をまっすぐ見た
ドキッ…
笑顔ではなく真剣な顔
「あ…そぅ…かな…」
「彼氏は弥生ちゃんに安心しすぎなんじゃないの?」
「ん…わからないです…」
