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。+゚僕は君に恋をした。+゚

第44章 思い出

違うだろ‥さっきから何言ってんだよ?

「意味わかんねーって‥」

平手打ちした手が疼いて痺れて痛かった

「最後の最後でそれか?俺をそんなに苦しめて楽しいのかよ?」

は?

「苦しめてなんかいないだろ?!俺がいつ‥」

待てよ‥そう思うって事は実は日高がずっと我慢してたのか?

俺が素直じゃないばっかりに、普通ならしなくてもいい回りくどい事しないと素直にならないからずっと我慢してやってたってのか?

「もう‥しなくていい‥俺に気遣う事しなくていいから‥」

「何がだよ?意味わかんねーのは先輩だろ?(笑)」

何でわかんねーんだよ!

「だから俺はっ!!」

日高の顔を見上げた

「俺と居るとマズイんじゃないの?新しい彼氏と今度は喧嘩するぜ(笑)」

「新しい?彼氏?」

とぼけるのも大概にしろよ!?

「もう!ウンザリなんだよっ!!俺をこれ以上惨めにしないでくれっ!!」

ウンザリ?
ウンザリって何?

言われるとは思っていなかった言葉を突きつけられて頭が真っ白になる

「ウンザリ‥って‥」

俺が写った先輩の目から一筋の涙がほっぺたをつたったってゆく

何で泣くんだよ‥

「泣くなら新しい彼氏の前で泣けよ(笑)優しく聞いて抱きしめてくれんじゃね?俺はもう出来ないから」

してあげたくても、もうしちゃいけないから‥

俺は先輩を優しく包み込む事も温もりや母性にも似た愛情を注ぎ込む事も、もう出来ない‥

「先輩?」

ゆっくり俺の胸に手を当てて腕の中に入ってきた先輩

「なっ何やってんだよ?!見られたらって‥」

そっと俺の胸に埋めた顔を上げた先輩が震えた唇でこう言った

「キスして‥」

日高に愛想尽かされた俺

もう出来ないと言われた

日高にワガママばかり言って困らせて怒らせて時には泣かせてしまっていた

もう、抱きしめてくれる事も俺を優しい温もりで包み込んでくれる事もない

最後に‥最後に俺の願いが叶うのなら

最愛の日高からの口づけで俺達の幕を閉じたい‥

「出来る訳ないだろっ!何考えてんだよ?」

「お願い‥お願いだから‥キスして‥っ」

何でそんな悲しそうな顔するんだよ‥

いつまでも泣いてんじゃねーよ‥

「日高‥?」

日高の手が俺のほっぺたに触れたかと思ったら涙を拭っただけだった

キスさえ叶わない俺の小さな最後の願い

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