シアワセ∞経路
第1章 始まりをくれたきっかけ
――――……
「ちょっと……!」
「へー、風子もお菓子作るんだ?」
放課後になって帰ろうとした時。
甘い香りに誘われて、先輩がやってきた。
ピンク色のサブバックを覗かれて、昨晩作ったクッキーの存在がばれる。
「簡単なレシピのだけど」
「ふーん。もしかして、そのクッキーはあいつにあげんの?」
「うん、そうだよ。いつも喜んでくれるから」
だから、その彼に早く会いたかった。
――……ずっと、ひとりぼっちだった。
でも彼が隣にいてくれたおかげで今は笑えている。
出会いは最悪だったけれど……――