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シアワセ∞経路

第1章 始まりをくれたきっかけ


あれは、14歳の夏の終わり。
私の運命が大きく動いた出来事は、ここから始まった――


「これでよしっ!」


まとめた荷物を新しい部屋に運び終えた。

外は赤に近いオレンジ色で空が染められており、ひぐらしが鳴いている声が聞こえる。



夏の終盤、明日から二学期が始まる。

私は小神 風子(オガミフウコ)。
現在、中学二年生。

素敵な恋を夢見る年頃。
でも、彼氏は……いない。

親の仕事の都合で、今日、ここに引っ越してきた。


早く生活できるように片付けないと……!

セミロングの髪を一つにまとめて気合を入れた。


そして自分の物を無造作に詰めたダンボール箱を開ける。



段ボール箱の中は、本や雑貨でぐちゃぐちゃしていて何を入れたのか一見分からない。

もっと整理して入れておけばよかった。



――ん……?これ、なんだっけ……。


一番下に入っていた純白の箱が気になった。

それを取り出してゆっくりと蓋を開ける。



「懐かしい。こんな物よく貰ったな……」


中に入っていたのはハートが二つある銀色のネックレス。

五百円程度で買えるものではなく、数千円の値段がするくらいしっかりとした作りの物だった。


使わないでずっと閉まっていたおかげで、今でもキラキラと色褪せずに輝いている。



これは小さい頃に遊んだ一個年上の男の子に貰ったもの……。


あの人は、今なにをしているのかな?

この町に住んでいたはずだから、もしかしたら会える……?



新しく始まる学校生活が楽しみだった。


楽しみ……、だったはずなんだけど……――

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