シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「はい。分かれ道で、これ落としただろ」
「あっ……!リンダちゃんの人形!バックから外れちゃってたんだ」
持ってきたサブバックに付けていたマスコットのぬいぐるみだった。
「なんだよ、そのリンダちゃんって……」
「え、知らないの?今流行りのゆるキャラ!この子は、りんごとパンダがモチーフなのです」
リンダちゃんのマスコットぬいぐるみをソラの目の前に突き出した。
すると、ソラはすぐに眉をひそめた。
「こんなに可愛くないのに流行りとは……」
リンダちゃん人形は、キュートな表情ではなく渋くて気持ち悪い顔をしている。
だけど、このなんとも言えないビジュアルが人気を呼んでいた。
「キモ可愛いの!」
「分かった。でも、それを落としてくれたおかげで風子を探すきっかけができたって言うか」
「どうして……」
「様子が変だったし、珍しくそんな大荷物を持ってどこ行くのかなって。電話しても出ないし」
「そうだったんだ……」
偶然に助けにきてくれたんじゃなくて、このリンダちゃんマスコット人形を落としたおかげだったんだ。
「あのさ、……さっきの男たちのこと通報する?」
被害者の私に気を使ってくれているのか、切り出しにくいような感じで私に言った。
本当はそうするべきなんだと思う……。
だけど……。