シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「それはない」
「ですよね……」
「……じゃあ、隣で寝ればよかった?」
「えっと……、それは恋人同士がすることじゃ……」
「ただ睡眠を取るだけなのに?」
「えっ……あの……」
「冗談だよ」
寝ぼけている暇もないほど鼓動が早くなり、火照った顔は毛布で隠した。
でもベットまで運んでくれたってことは、何らかの方法で私に触れてたってことだよね。
おんぶかお姫様抱っこのどっちか。
考えれば考えるほど、信じられなくて混乱しちゃう。
いや、でも私に触れずとも服を引きずってここまで運べる。
きっとそうだ!
ズルズルと私を引きずってきたんだ!
そう考えておけば何も恥じることはない。
「風子?」
「……泊めてくれてありがとうございました」
「いいよ。その代わり……もう二度と家出しないこと」
「うっ……分かりました」
素直に聞き入れたご褒美なのか、ソラは微笑んでポンっと私の頭に手を優しく乗せて撫でてくれた。
「……風子に何かあったら心配するのは俺もなんだから」
やばい……。
ソラに優しくされるたび、心が温かくなってドキドキする。
これは完璧に『好き』になってるってことで間違いない……。
今はただの居場所じゃなくて、もっともっと距離を縮めたくて。
どんどん求める気持ちが膨らむと同時に胸が苦しくなる。
好きになったら、居場所の意味が変わってしまうし。
この気持ちは、どうやったら止めることができるの……――