シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「いや、両親は仲良いから。ここは、母さんの実家なんだ」
「じゃあ、ソラの実家は別の場所ってこと?」
「一応、そう言うこと。あっちには行きたくなくて、自分の意思でここに残ってる。
両親が引っ越してから、祖母と一緒に暮らしてたけど入院してるからひとりってこと」
「え……、おばあちゃん大丈夫なの……」
「大丈夫だよ。それより、カレー冷めちゃうぞ」
「あっ……!いただきますっ!」
そんなことを抱えていたなんて知らなかった。
心配無用と言ってる感じで、明るく振る舞っているソラを見てると少し胸が苦しくなった。
私とは理由が違うけれど、ソラもひとりだったんだ……。
夜ご飯を食べてから食休みをしていると、うとうとしていつの間にか眠ってしまった。
夢を見た覚えはないけれど、眠っている時にすごく温かい気持ちになったのは覚えている。
ずっと、このままの時間が続けばいいのにな……。
ずっと……この居場所に……。
私の隣に……いてくれたら……――
カーテンから漏れる朝陽でハッと気がついた。
目を覚ますと私はベットの上にいた。
まだ覚めない頭を回転させて、昨晩の流れから考えるとベットは明らかにソラのだって分かった。
男の子の部屋って散らかってると思ってたけど、意外と綺麗でちゃんとしてる。
唯一机の引き出しが半開きになってるのが気になったけど、それ以外はパーフェクトだから見なかったことにしておく。
って、肝心な本人がいない……。
するとタイミングよく階段を上がる足音が聞こえ、部屋のドアが開いた。
「おはよ。もう起きたの?」
「うん。おはよう」
ソラは片方の肩に掛けていたリュックの紐を下ろした。
どこに行ってたんだろう。
ベットに腰を掛けて柔らかい視線を向けられたせいで聞きそびれる。
「よく眠れた?」
「おかげさまで。そういえば、ソラはどこで寝てたの?……まさか隣とか」