シアワセ∞経路
第3章 私の居場所
仕方なく、落書きされた理科の教科書を持って教室を出た。
クラスの子が『あっち』と指差してくれた実験室がある方へ向かう。
でもそこには実験室はなく、会議室と使われていない教室だけ。
どうしてないの……?
どこを行けば実験室に辿り着けるのか分からない上に、授業が始まるチャイムがそろそろ鳴ってしまう。
それなのに、私は2階の階段付近で焦ってうろうろしていた。
一体、どっちに進めば実験室があるの……。
迫り来る時間と、授業に遅れたら怖い理科の先生に怒られる恐怖が冷静さを奪う。
困り果てていると、偶然にも階段を上がってくる足音が聞こえてきた。