シアワセ∞経路
第11章 二人の恋
「分かった。でもその代わり一つ聞いていい?」
「何だよ」
「佳菜美ちゃんと仲良いみたいだけど付き合ってるの?」
恐れていたこの質問をぶつけると、颯太は鋭い目つきでニヤッと笑った。
「へえー、オレに嫉妬してくれるのか」
「ちっ…違う!一緒にいるところを学校で見かけたから」
さらに佳菜美ちゃんから軽いスキンシップまでも受けていたとまでは口には出さず心に閉まっておいた。
「ああー。付き合ってはいないけど、もう知り合って1年くらいだからな。可愛い嫉妬を見せてくれたお礼に一つだけ特別に教えてやるよ」
制服のズボンのポケットに手を入れ、立ち止まっている私を置いて先に歩き出す。
颯太の大きい背中が視線に入る。
「オレの好きな人は佳菜美の姉ちゃん」
―― え…?
佳菜美ちゃんのお姉さんが、前に話してくれた病院に入院していて、退院の目途が立たない颯太より二つ年上の先輩だったなんて……。
どうりで佳菜美ちゃんと接点があるわけだ。
でも一つだけ疑問に思ったことがある。
妹である佳菜美ちゃんと知り合っていたなら、なぜ私に恋愛相談してきたんだろう。
お姉さんの好みとか分かると思うし、佳菜美ちゃんに相談すればいいのに……。