シアワセ∞経路
第12章 失うものと告白
高校に入学してから、毎日が新しいことを覚えることだらけであっという間にゴールデンウィークが明けた。
あれから無視とか机にバカとかひどい言葉を描かれたりする日はあったものの、新しくできた友達の比奈ちゃんが上手くはぐらかしたり笑わせてくれたりしてくれてあまり気にならなかった。
今日もそんな一日だろうと思いながら、朝のSHRが始まる15分前に教室に入って自分の席に着いた。
後ろの席の比奈ちゃんはまだ来ていない。
スクールバックから宿題をするために持って行った教科書とノートを机の中に入れようとすると、奥の方で何かひっかかる感じがした。
手を伸ばしてそれをつかんでみると革のような手触りがした。
それを出してみると、見覚えのある長財布だった。
これって、比奈ちゃんの……。どうして私の机の中に……?
比奈ちゃんったら、席を間違えたのかな。
でも財布を学校に置いていくはずがない。
来たら渡さないと。
そう考えていた時だった。