シアワセ∞経路
第14章 本当の気持ち
「あんたバカ?嫌な恋を全部忘れられるヤツがいるなら尊敬すんだけど。目立つ前にさっさと教室戻りな」
ギャルの人は、暴言なのか助言なのか判断が難しい言葉を投げ捨てて三年生の教室に入って行った。
私のことが噂になってるっていうのは、この前の比奈ちゃんの財布の事件のことかな。
だから颯太は、いつも誰もいないところで会おうとしていたんだ。
悪く言われている人のそばになんて、誰だっていたくないよね……。
ギャルの人の忠告に従って、休み時間を潰すようにゆっくりと階段を下りた。
この後、颯太に知らない人のふりをされたことを、どうしても本人に聞くことはできなかった。
ギャルの人に言われたように、私と一緒にいたら颯太まで悪い印象になってしまうこと以外返ってきそうな答えを考えられなかったから。
それに、颯太にまで私を否定されたくなかった。
だから会った時には、なるべく笑顔でいて、求められることに応えた。
恋人ごっこ……。
……ただの友達以上恋人未満の関係を続けて自分の居場所を保とうとしていた。
結局、あの時と同じ。
居場所が欲しくて、ソラと一緒にいてもらって寂しさを埋めようとしていた。
何も変わってないじゃん……。
失恋を忘れようとして颯太と一緒にいたけど、前に進めていると錯覚しているだけ。