シアワセ∞経路
第14章 本当の気持ち
「あたし見てたんだけどさ、颯太はあんたのことスルーして行ったでしょ。
まあ、あんたと関わると目を付けられるからね。
これで分かったでしょ?あいつは自分のことしか考えてない最低なやつなの!」
「……」
確かに面識がないように去って行かれたし、ギャルの人がスルーしていったと言うのは間違っていない。
意外と人に見られていないようで、見られていたんだ。
「三年でもあんたのことで悪い噂になってんの。だからもうここに来ない方がいいんだけど」
「……分かりました。でも、どうして颯太先輩のこと悪く言うんですか」
「は?……元カノだから忘れないでよーく知ってんの。
あたしのように、馬鹿みたいに泣く女をもう見たくないからね」
この人、颯太と前に付き合った事がある人なんだ。
でも”最低”だって酷いな……。
どんな別れ方をしたんだろう。
しかも別れても颯太のことを忘れないで、覚えているんだ。
颯太の過去を詳しくは知らないけど、本質はそんなに悪い人じゃない。
「嫌いだったら、忘れればいいじゃないですか」
心の中でこっそりと反論するつもりが、この事を忘れたくて悩んでいるせいもあって思わず口に出してしまった。