シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「何のことか覚えていない?」
「え……?」
「絵馬に書いてあったことだよ」
「……まさか、……見た……の…?」
先に階段を降り終わったソラがにっこりと微笑んで、焦っている私の方を見た。
それは当たりと言わんばかりの笑顔だった。
いつの間に、私の書いた絵馬を見ていたんだろう。
相変わらずソラの行動は、私の想像を超えていて読むことができない。
でも今となっては、絵馬に書いたお願いを見られてもまずいことなんて何一つないことに口元が緩む。
寧ろ、見られてよかったのかも……。
ここの神社で、願掛けができて本当に良かった……。
心地よく髪を揺らす風が吹いてきて、この時間が本物だと実感させる。
階段を降りてから神社の方を振り返って、待っていてくれるソラの方へと向かった。
だけど追いついても、立ち止まったままで視線が合わなかった。
なにかを考えているようにも見える。