シアワセ∞経路
第17章 もし出逢っていなかったら
前の席の佳菜美ちゃんも、自分に用があるのかと確信して視線を送っているようで。
目の前の状況に気にせず、宿題のプリントをクリアファイルに入れようとした。
「……颯太くん!やっぱり考え直してくれ……」
「は?おまえにもう用事なんてねえよ」
――……え。どういうこと……?
佳菜美ちゃんと颯太のやり取りに不穏な空気を感じ、ゆっくりと顔を上げる。
プリントを持ったまま止まっていた手をいきなり颯太にグイッと掴まれた。
「来い。話がある」
機嫌が悪いのか、険しい表情を私に見せる。
「……っ!」
少し痛みを感じるくらいに強く引かれて、埃っぽい資料室に連れ込まれた。
「お望み通り、会いに来てやったけど?」
冷たい視線に、横暴な態度でいつもと様子が明らかに違った。
その異変が怖くて、掴まれていた手を強引に解放させてもらう。
「……来てくれてありがとう。早速だけど、……もう終わりってことでいいよね」