シアワセ∞経路
第17章 もし出逢っていなかったら
「……ありもしないことよく言えますね。俺、君が中学の頃に小神さんにしてたこと知ってますけど」
「くっ……」
爽やかな笑顔でさらっと反撃するソラに、あの佳菜美ちゃんが圧されている。
――助けに来てくれたんだ……。
「高校でもまたこんなことしてるなんて。……これ以上、小神さんのこと苦しめるならただじゃ置かない」
「うっ……」
何も言えなくなったのか、佳菜美ちゃんは足早で去って行った。
佳菜美ちゃんがいなくなって安心して、ずっと上がりっぱなしだった肩を下す。
「助けてくれてありがとう……」
「頬大丈夫か?……赤くなってる」
心配されて思い出して、ヒリヒリと痛むところを手でおさえた。
「うん、このくらい大丈夫。明日には治ると思う」
固くなっていた表情がやっと緩んで、微笑むことができた。