シアワセ∞経路
第17章 もし出逢っていなかったら
「あまり無理するなよ」
頬をおさえていた手を重ねるように優しく触れられて、不思議と痛みも軽くなった気がした。
それと同時に、顔が熱くなった。
「うん。でもどうして、ここにいるって分かったの?」
「怒ってる声が聞こえたから、何事かと思って見てみたら……ね」
佳菜美ちゃんの声、そんなに響いていたんだ。
本人は無意識だったと思うけど、確かに声は大きかった。
「ところで、なんであんなに迫られていたんだ。……何かあったの?」
「えっと……それは……」
高校で、颯太と話したことについて教えろって言われていたんだけれど。
きっと、颯太を裏切ってしまったと思っているソラにとっては出すべきではない話題かもしれない。
そう思うとはっきりと話せなかった。