シアワセ∞経路
第18章 私とふたり
「……ソラはこんなことしてたの」
「ああ。風子には難しそう?」
「っ……!やります。やってみます!」
「じゃあ、一から教えてあげようか」
「……お願いします」
向き合っている初めて見るものに、私は苦戦していた。
どこからふれていけばいいんだろう。
……全く分からなかった。
駅前にある自由に利用できる学習スペースに来ていた。
ソラにどうしてもお願いしたいと思っていたことを実行するために。
"勉強を教えて欲しい”これが頼んだことだった。
お願いしてみたら、快く受け入れてもらえて今に至る。
数学だけはどうしても苦手で一人で勉強しても謎が残るばかりだった。
こんなの大人になってから使うのかな……。
疑いながら、教科書に載っている公式を見る。
「――つまり、ここがこうなるから……こういう風になるんだよ」
パッと見てもう答えが分かっているように、過程を説明してくれる。
分かりやすくて、私の持つシャーペンもスラスラと走る。
本当、すごいや……。
改めて、好きになった人の偉大さを知る。
かつて、数学の勉強をしながらこんなにニヤけたことはあっただろうか。
新鮮な思いをしながら教えられたことを活かして、一人で問題を解いてみる。