シアワセ∞経路
第18章 私とふたり
次の日、学校で担任の先生の手が空いたところを見計らって、声を掛けた。
誰もいない進路相談室に案内されてから本題を持ち出す。
「小神……、何を言っているのか分かっているのか?下手したら、進路にまで関わるぞ」
「分かってます」
「比奈の財布のことで後ろめたいのは分かるが、そこまで考える必要はないんだぞ」
自分で考えて決めたことを先生に伝えてみたけれど、そう簡単に分かってもらえない。
「本当は、ずっと辛かったんです。……言っても信じてもらえないと思いますけど、実はいじめられていて……」
「佳菜美にだろ?」
すべて言い終わる前に、先生は私が言おうと思ったことを話に入れてきた。
比奈ちゃんの財布の件で初めて担任の先生と面と向かって話した。
だけど、いじめられていたことについては怖くて何一つ言うことができなかった。
「……先生は知ってたんですか?」
「いいや、知らなかったよ。知ったのはつい最近だ。それから佳菜美を呼び出して注意しておいたから大丈夫だ」
佳菜美ちゃんが何もしてこなかった理由はこれだったんだ……。
ホッと安心して肩の力が抜けると、先生はニッと笑った。
「小神はいい幼馴染を持ったな」
「え……?」