シアワセ∞経路
第19章 シアワセ
金曜日の夜。私は唯子さんと晩御飯を食べた。
久しぶりに食べる誰かの手料理はどんな外食よりも美味しくて。
もう二度と食べることのない家庭の味を堪能した。
食後、唯子さんと私のこれからについて話し合っていた時に、パパが家に帰ってくる。
パパに会うのは数日ぶり。
私が学校に行っている頃に、唯子さんと二人で会っていたようだった。
「風子!一体どういうことだ!」
リビングに真っ直ぐ来て声を上げる。
いつもおっとりしているから、焦っている表情が珍しい。
「……唯子さんに言った通りです」
覚悟はもうできていた。
「出ていく必要なんてない。もう一度考え直すんだ」
必死になって止めてくれているのが分かる。
今までずっと優しくしてくれて、面倒を見てくれて……たくさんの思い出をくれた。
「もう、ここにいたくない。だから、そう決めました。何を言われようが揺らぎません」
断言すると、パパは肩を落とした。
本当に、ごめんなさい……。
感情が邪魔して口には出せなかった。