シアワセ∞経路
第20章 After Story
「……うん!行きたい」
「どこがいい?風子の行きたいところに行こう」
「んー……。それじゃあ、海に行きたい。それか水族館。私、物心ついた時から海に行ったことなくて」
家族旅行でさえ行った思い出がない。
学校の遠足で遠出したくらいだった。
「なるほど。いい機会だな」
「……海に行って見たら、ここにいるよりもっと世界が広く感じるんだろうなって」
青い空を見上げると、目の前に見えてるものが全てじゃないことを感じる。
もっと広い可能性があるんだなって思えて好きだった。
きっと、海と一緒に眺めるとまた違うはず。
「確かに、海はここよりはずっと広いな。……じゃあ海と水族館どっちも行こう。水族館は海の近くだから」
「ほんとに!嬉しい。夏の遠足だね!おやつは300円まで」
「ははっ、小学生かよ」
これからどんどん明るく、楽しくなっていく気がしてたまらない。
お互いの想いを伝え合ってから毎日が幸せだった。
だから、そろそろ……もういいかな……。
颯太との恋人ごっこもけじめはついた。
佳菜美ちゃんとのことももう大丈夫。
勉強もひと段落ついたから……――