シアワセ∞経路
第20章 After Story
熱い日差しが続いていた夏休みがあっという間に終わった。
青く広がる空の雲は高く、秋の風がふんわりと吹いていて。
二学期になってからもう十日以上が経つ。
それなのに、まだどこに何の教室があるのか把握できていない。
転校してきたから当たり前だけど。
早く慣れるためにいっぱいいっぱいだった。
「風子、早く!次の授業は、特別教室だからいい席取らないとだよ」
次は自由に席に座れる授業だった。
いい場所を確保できるように、友達と一緒に廊下を走る。
「待ってー!……あっ!筆箱が!」
教科書の上にのせておいたピンク色の筆箱が勢いよく前へ飛び出す。
ガシャンと音を立てて落ちた。
やらかした……。
中身はぶちまけずに済んでホッとする。
拾おうとしたら、前を歩いてきた人が代わりに筆箱を拾ってくれた。