シアワセ∞経路
第2章 面影
そこには、休み時間を満喫している先輩たちがあちらこちらいた。
転校してきて同じ学年の人もまだ知らないのに、他の学年だと誰も分からない。
お目当てである三組の教室から少し離れた位置で、キョロキョロと見ていた。
――どれがあの人だろう……?
よく見えない上に、今となっては顔もうろ覚え。
ひとりで探すには絶望的だった。
「ねえ、さっきからキョロキョロしてなにしてるの?もしかして下の学年の子?」
「はっ……、はい!」
いきなり見知らぬ男子に話しかけられて驚く。
教室の方ばかり見ていて、背後からやって来た人に気づかなかった。
「三年生の誰かに用事あるの?」
話しかけてくれた男子は、気さくでしっかりしていそうな感じの人だった。
胸元に付けてあるネームプレートを見ると、私の探してる人ではなかった。
とりあえずこの人に、あの人のことを聞いてみても大丈夫だよね。