シアワセ∞経路
第5章 共力者
公園の背高い木の葉を揺らすくらいに吹いている冷たい風が、体に当たって手がかじかむ。
もう少しで冬を迎える秋の風は厳しくて。
はぁーっと息を吹きかけても、手はなかなか温かくならなかった。
そろそろ帰ろうかな……。
「あれ……?確か、風子ちゃんだっけ?」
「あっ……」
俯いていた顔を上げると、ソラの従兄弟の颯太さんがいた。
颯太さんは私と次元が違うし、もう会えないかと思ってた。
それに、やっぱりかっこいいなぁ……。
「こんな所にいたら、体が冷えるんじゃねえの?」
「だっ……大丈夫です!貼るカイロ貼ってますから」
「ふっ……。そんな恥ずかしいこと男に暴露する?……あー、手なんかこんなに冷たくなっちゃって」
颯太さんは両ポケットから出した大きな手で、私の両手を包んでくれた。
じんわりと伝わってくる熱が温かくて気持ちいい。
よく考えたら男の人の手に触れてる……。
慣れない出来事が起きて、手よりも先に顔の方が一気に熱くなった。