シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
寒かった冬もあっという間に過ぎて、春がやってきた。
あれから、ソラとは何も変わらないまま一緒に学校生活を過ごした。
変わったことと言うと、私がソラの女嫌いを治してあげるのに協力的でなくなったこと。
話題にすら出さないようにしていた。
この居場所が変わって欲しくなかったから抗っていた。
何も変えたくなくて、変えようとしないでいても時間は止められなくてその時がやってくる。
そう、今日は卒業式。
卒業式を終えて、校舎前の広場では卒業生と在校生で賑わっていた。
こんなにも、春が来て欲しくないと思うのは初めてで。
ソラは中学を卒業だから、もう一緒に学校生活を過ごせないんだなと思うと寂しかった。
同じ学年だったら、この寂しさはまだマシだったのかな……。
そんなことをぼーっと考えながら、少し離れた玄関の階段に座っていた。
「風子、ここにいたんだ」
「ソラ、卒業おめでとう。あっ、学ランのボタン一個も減ってないね」
「今時、昔みたいなことするのかよ……」
「してる人だっているよー!それに名札もらってる人もいるみたいだし。よかったら私もソラのが欲し……」
「おーい!塑羅緒、助けてくれー!マジ、ヘルプ!」
ソラの親友である、海田先輩が焦った顔で走ってやってきた。
海田先輩の学ランのボタンは、残り三個しかついていなかった。
おっとりしていて優しそうだし、モテるのかな。