
恋愛short story
第1章 約束
どんな時も
自然体で飾らない。
そんなお前が俺は
昔から好きなんだよ
笑顔で俺の名前を…
あゆむ~って
呼んでくれるだけで
紅く火照ってくる身体と
俺の顔が綻んでしまう
重症なくらい
お前が好き──
なんて……
言える訳ない…
ガキの頃、
毎年この町内会の祭りに
京香と来ていた。
この祭りの目玉とも言える
花火が終盤に
打ち上げられる。
花火が夜空へと
打ち上がると
決まって京香は
寂しそうに
泣きそうな顔をして
俺にこう言うんだ。
「歩ぅ~お祭りもう終わっちゃうね。」
俺は今にも泣き出しそうな
京香を笑わすために
「また来年も一緒に来ようなっ!!」
たったそれだけ言うだけで
パッと瞳を輝かせる。
弓なりにニッコリ笑う京香。
「約束だよ~絶対、ぜーったい約束だよ?」
「分かった。これからも毎年来ればいいよ!大人になっても、ずっとずっと一緒に来ような!」
そう約束した俺。
結局、毎年は約束を
守れなかったんだよな…
忘れた訳じゃない。
言い訳かも知れないけど
お前を祭りに誘うのが
恥ずかしかったんだ。
毎年、祭りの日が来る度
思いだす。
お前が約束を覚えてるか
どうか関係無しに
今日は祭りに誘ってくれて
スゲー嬉しかった。
