
恋愛short story
第2章 ※ 不安材料
そっと火照っている
亜希の頬に掌を添えて
口付けをする。
弧を描いたような
長い睫が下向きに広がり
亜希の瞼が
ゆっくりと落ちていく。
それ以上の会話なんて
必要ないでしょ
何もお互いが
話さなくたって
これが2人だけの
合図なんだからさ
亜希の唇に割って
舌を滑り込ませ
歯列をなぞり絡ませる。
「んっ……」
亜希は俺の唇から
ずらし息継ぎを
しようとした。
「ダメ…ほら、こっち向いて…」
それでも俺は
離れた唇に角度を変えて
幾度も深いキスを交わす。
離した瞬間、
俺と亜希を銀色の糸が
2人を名残惜しそうに繋いだ。
