
恋愛short story
第3章 ※ 消毒
「…んっ、ぷっはぁ…ハァハァ…」
伶の口から離れ
大きく息を吸い込む。
口内で交わした
互いの唾液が
端から流れ出ていた。
再び伶の顔が近づき、
それをペロリと舐め上げ
ゆっくりと私の唇を
舌でなぞる。
息が上がったまま
向き合った眼差しは
暫く沈黙のままだった。
「チッ…。どこだ?」
伶は舌打ちをし見下ろす。
「えっ??」
「お前が何されたのか聞いてる。」
「ぅっ…そんなの……。言いたくないょ…」
見つめ合ったままだった顔を
プイッと逸らした。
じっーと
見られているのが辛くて。
嫌われたかどうか心配で。
生々しいうえ、
気持ち悪いさっきの出来事なんて…
伶に言いたくないっ!
「嫌っ!思い出したくないのに!伶は…伶は痴漢された私の事汚いって思ってるでしょ!!」
泣き出しそうで
我慢してたが
ついに言ってしまった…
自然に流れる涙と嗚咽で
ぐしゃぐしゃになった私の顔。
伶に嫌われたくないのに…
想えば想うほど、
胸が苦しくなった。
