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恋愛short story

第4章 介抱


「えっ?あっ…あの塁先輩?」






ひゃぁああー!

せっ…先輩の顔近すぎッ!






先輩の端正な顔立ちが

はっきり目の前に見える。

まともに先輩の眼差しを

受け入れることができず

咄嗟にプイッと

顔を逸らしてしまった。






しっ、心臓がっ…

ドキドキしすぎて

くっ…苦しい…






私の胸の鼓動は

トクントクンと速く打つ。

先輩は私の頬にかかった髪を

スッと細い指先ですいた。





なっ!?…

ぁぅう…






くすぐったいような、

そっと触れる先輩の指先……






そのままツーッと口元に

指は降りてくる。

私の口の隅を

優しくなぞると

ペロッと自分の指を舐めた。






えっ??

あっ…あの…

わっぁああッ!

るっ、塁先輩ッ…

今何して…






ボンッと一気に顔が

赤面し耳まで熱くなる。

頭からは湯気が

出ているんじゃないかって

くらいに一瞬の出来事に

頭の中は訳が解らなくなっている。







「雪平は食いしん坊なんだね?口に付いてたよ?バームクーヘン美味しかった。ご馳走さま〜」






先輩は、私の事など

お構いなしにスマイル全開で

微笑みかけてきた。

カァーッと

全身が熱く火照って

私はその場から身動きが

とれなくなってしまった。

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