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第4章 介抱
永本に断ってもほれっ、と
手に持ったスプーンを
近付けてくる。
もぅ、こうなったら!
ぇえっい!!
恥ずかしさを我慢して
口を開けた瞬間!
永本の持っていたスプーンが
ヒョイっと方向転換する。
「あーーーん!やっぱ美味しいなぁ。淳くん。」
えっ?誰!?
口を開けたままの私。
横を見ると、
そこには永本の手首を取り
自分の口へスプーンを運ぶ
先輩が口を
モゴモゴ動かしていた。
「せっ、先輩っ?!」
「うわぁー!るっ、塁先輩何するんですかっ!それに淳くんて…」
永本は驚いて先輩に掴まれた
手を振り払おうとする。
「なぁ〜に、二人でご飯食べてたの?楽しそうだね?俺も混ぜてよ。」
クスクス笑って
先輩は私の横に座り出した。
「るっ、塁先輩居たんですか??」
「う〜ん。始めからね〜。」
えっ??
始めからって…
塁先輩に…見られたんだ!!
永本くんといる
誤解を解かなきゃっ!
「あっ…淳くん、私のレポート手伝ってくれたんです。だから、その…御礼に食事を…」
「ふぅ〜ん。淳くんねぇ……」
せっ…先輩?
私にだけ聴こえる小さな声で
ボソッと呟いた。
塁先輩…
何でそんな顔するの?
先輩の顔は
柔らかい表情が消え
一瞬曇った気がした。
