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第4章 介抱
「そうなんですよ〜心美が終わらなさそうだったんで。何とか仕上がりましたけどね。あっ、そうだ!先輩に聞きたかったことがあったんですけど、この間の……」
塁先輩にペラペラと
話し出す永本。
それを頷きながら聞く先輩。
暫く二人の会話を
聞いているつもりでも
やっぱりさっきの先輩の表情が
気になって上の空だった。
そんな私の左手に
微かに何かが触れる。
ふと、何かと見ると
膝の上に置いていた
私の小さな手は掬うように
スッと大きな手で覆われた。
えっ?
ちょっと…
指と指の間に滑りこんだ
細長く綺麗な指……
それは、先輩の手だった。
るっ?!
塁先輩??
塁先輩が私の手を!
握っている?
えっ?どぅして?
ちょっ、と待って
何が起きてるのォォ!
わぁああーー!
どっ、どうしよう…
きっ…
緊張して手が震えちゃう……
幸いな事にテーブルの下で
手は繋ながれている。
永本からは見えないでいた。
でも、このままじゃ…
ヤダ……
ドキドキしてきちゃったよ〜!!
握られた手から
離れようとすると
塁先輩の握る力が
ギュッと強くなった。
