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恋愛short story

第4章 介抱


えっ?

ちょっ…と





「もしかして、なっ…永本くん?なっ、何するの!離して!」







ジタバタ踠いて

離れようとするが

相手の胸に顔を埋めてしまい

顔が見えない。






いくらなんでも、

永本くんどうしちゃったの?

もしかして、まだ酔ってるの?





「もぅ!淳くんいい加減にしないと私も怒るよ!」






「はぁ…。ここまで連れて帰って来てあげたのにそれはないんじゃない?」






えっ?

この声は……

永本くんじゃない!





慌てて、埋めていた顔を

引き上げると暗がりの中

ぼんやりと見えるのは

塁先輩だった。





「あっ…。」




えっぇえええーーー!!




完全に永本だと思っていた私は

塁先輩の登場にその場で

固まってしまった。






「ぅわぁああ!るっ、塁先輩??なっ、何で?永本くんじゃない……」






気が動転して

訳の分からないことを

口走ってしまい、

体中にカァーッと熱を帯びる。

心臓はドクドクと脈を打ち

耳まで聴こえてくる。

一気に急上昇した私の顔は

きっと、真っ赤に

なっていることだろう。






「へぇ〜まだ永本って言うんだ?俺が介抱してあげたのに?」





「すっ、すみません。てっきり永本くんかと…。あの、ありがとうございました。」





どうやら先輩が

介抱してくれて…

店から私を連れて

帰ってくれたみたい。

ここは…

塁先輩の家なんだ。






「寝言では、塁先輩って言ってたけど?」





えっ??

うわぁああ!!

私寝言でそんな事言ってたの!?

はっ、恥ずかしいよ〜!




慌てふためく私を見て

クスクスと肩を揺らし

先輩は小さく笑った。

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