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恋愛short story

第4章 介抱


「かっ、からかわないで下さい!私は……」






言いかかった言葉に

ハッと思わず息を呑んだ。





これ以上は言えないよ…





モジモジと指先と指先を

擦り合わせていると、

塁先輩と目がカチ合った。






先輩は私のことを

からかっているだけ

かもしれないけど…

私は先輩といるだけで

こんなにドキドキしていて、

今だって先輩に少しでも

触れられると固まってしまうし。

まともに目を合わすことも

出来ないのに…





それは…

どうしようもないぐらいに

先輩のことが好きだから……





真っ直ぐ見つめる先輩の瞳は

あまりに綺麗に澄んでいて、

吸い込まれるような

茶色の虹彩にボゥーっと

見とれてしまった。





突然、ふわりと優しく

身体が包まれた。






塁先輩の匂いがする……。

何が……起きたの?






一瞬の出来事で

目の前で何が起きたか

解らなかった。

ただ今くすぐったいように

感じているのは

私の頬に触れている

先輩の髪ーーーー

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