リトル・リトル・バンビーナ
第1章 マスター、お世話します
一年前、暴力を振るう父親に耐えかねて、私は家出した。
突発的に飛び出した私はまさに身一つだった。
どこに行こうかなんて、アテも当然なく。
かといって、いまさら家になんて帰りたくなくて。
季節は、冬。時間は夜。
雪が降り積もっていく中、私は、ただ、ただ寂しくって、悲しくて、惨めで。
この先、ずっとこのまま歩き続けて、死ぬんじゃないかなんて、本気でそう思った。
行き交う人々に何度もぶつかりながら、ふらふらと街中をさまよっていた。
家を飛び出して、何時間か経って街中のネオンも、喧騒もすっかり落ち着いた頃。
力尽きた私は倒れてしまった。
だから、目を覚ましたとき、私は天国に辿り着いたんだとばかりおもった。
ふわふわのベッドに、広い部屋。
そして、ベッドのすぐ近くのソファに腰掛けていたのは、見知らぬ男の人。
その男の人が、こう言った。
「お前、今日から俺のペットだ」
色素が薄いのか赤茶色の瞳に、さらさらのハニーブラウンの髪のえらく容姿の整った男の人。
ああ、王子様だ。天国だから天使様かもしれない。
寝ぼけ眼の私は夢心地にそんなことをつぶやいた。
けれど、男の人は顔を歪め、人を小ばかにしたように笑った。
「寝ぼけるのもたいがいにしろ、下僕」
王子どころか天使なんてもんじゃなかった。悪魔だ。
このひとは魔王に違いない。
これが、私、七海 瑠璃(ななみ るり)と大魔王……ではなく、
ご主人様である神埼 将梧(かんざきしょうご)との出会い。
そう。私は拾われ、メイドになったのでした。
このワガママ大魔王に翻弄される、花も恥らう高校生メイド。
このお話は大魔王とメイドの、とある日常なので、ございます。
突発的に飛び出した私はまさに身一つだった。
どこに行こうかなんて、アテも当然なく。
かといって、いまさら家になんて帰りたくなくて。
季節は、冬。時間は夜。
雪が降り積もっていく中、私は、ただ、ただ寂しくって、悲しくて、惨めで。
この先、ずっとこのまま歩き続けて、死ぬんじゃないかなんて、本気でそう思った。
行き交う人々に何度もぶつかりながら、ふらふらと街中をさまよっていた。
家を飛び出して、何時間か経って街中のネオンも、喧騒もすっかり落ち着いた頃。
力尽きた私は倒れてしまった。
だから、目を覚ましたとき、私は天国に辿り着いたんだとばかりおもった。
ふわふわのベッドに、広い部屋。
そして、ベッドのすぐ近くのソファに腰掛けていたのは、見知らぬ男の人。
その男の人が、こう言った。
「お前、今日から俺のペットだ」
色素が薄いのか赤茶色の瞳に、さらさらのハニーブラウンの髪のえらく容姿の整った男の人。
ああ、王子様だ。天国だから天使様かもしれない。
寝ぼけ眼の私は夢心地にそんなことをつぶやいた。
けれど、男の人は顔を歪め、人を小ばかにしたように笑った。
「寝ぼけるのもたいがいにしろ、下僕」
王子どころか天使なんてもんじゃなかった。悪魔だ。
このひとは魔王に違いない。
これが、私、七海 瑠璃(ななみ るり)と大魔王……ではなく、
ご主人様である神埼 将梧(かんざきしょうご)との出会い。
そう。私は拾われ、メイドになったのでした。
このワガママ大魔王に翻弄される、花も恥らう高校生メイド。
このお話は大魔王とメイドの、とある日常なので、ございます。