リトル・リトル・バンビーナ
第1章 マスター、お世話します
「おい、瑠璃。この茶色いカタマリはなんだ」
「なんだって何よ。アンタがいったんじゃないの。チョコレート菓子が食べたいって」
ある休日の朝のことでした。
私のご主人様である将梧は、チョコレート菓子が食べたいなんてぬかしやがったので、私はフォンダン・ショコラを作る羽目になった。
朝から言うなよ、とか、なんでバレンタインでもないこんな時期にチョコレート菓子食べたいとか思いつくんだよ、とか
うっせ、黙れ、コンビニにいってチロルチョコでも買って食べてろ、バーカ!
とか、言ってやりたいことは山ほどあったけど、
ぜんぶおなかの中に飲み込んだ。
私は完璧なフォンダン・ショコラを作って、おろしたてのメイド服で、
超絶可憐な笑顔で将梧のお部屋まで朝食と一緒に持っていた。
完璧においしそうなフォンダン・ショコラなのに、朝食だからお腹にたまるものにしようと、完全な気配りでのフォンダン・ショコラなのに!
なんでこいつこんな不機嫌極まりない顔してんのよ。
「俺が食いたかったのはチョコレート菓子だ」
「これ、チョコレート菓子よ。フォンダン・ショコラ」
「ケーキじゃねえか。俺はカカオの利いた苦いチョコアイスが食べたいんだ」
なに、このワガママ大魔王。
「じゃあ、最初から素直にアイス食べたいって言えばいいじゃない」
「んだと、下僕の癖に」
「21になる大学生が、17歳の高校生に駄々こねるんじゃないわよ」
確かに拾ってもらった恩はあるけど、それはそれ。これはこれ。
大企業の坊ちゃんだからって甘やかしてちゃ、ロクな大人にならないわこいつ。
こいつのおじさまおばさまからは「好きにやっちゃってよし」とお許しをいただいてることだし。
将梧がおじさまの跡を継ぐ頃までには立派な社会人として世に出せるよう、
性根をたたきなおします、って約束した身としては、ね。
「ほら。チョコアイスはまた次に用意しておくから、
朝食食べちゃいなさいよ。将梧、お昼に約束あるんでしょう?」
「なんだって何よ。アンタがいったんじゃないの。チョコレート菓子が食べたいって」
ある休日の朝のことでした。
私のご主人様である将梧は、チョコレート菓子が食べたいなんてぬかしやがったので、私はフォンダン・ショコラを作る羽目になった。
朝から言うなよ、とか、なんでバレンタインでもないこんな時期にチョコレート菓子食べたいとか思いつくんだよ、とか
うっせ、黙れ、コンビニにいってチロルチョコでも買って食べてろ、バーカ!
とか、言ってやりたいことは山ほどあったけど、
ぜんぶおなかの中に飲み込んだ。
私は完璧なフォンダン・ショコラを作って、おろしたてのメイド服で、
超絶可憐な笑顔で将梧のお部屋まで朝食と一緒に持っていた。
完璧においしそうなフォンダン・ショコラなのに、朝食だからお腹にたまるものにしようと、完全な気配りでのフォンダン・ショコラなのに!
なんでこいつこんな不機嫌極まりない顔してんのよ。
「俺が食いたかったのはチョコレート菓子だ」
「これ、チョコレート菓子よ。フォンダン・ショコラ」
「ケーキじゃねえか。俺はカカオの利いた苦いチョコアイスが食べたいんだ」
なに、このワガママ大魔王。
「じゃあ、最初から素直にアイス食べたいって言えばいいじゃない」
「んだと、下僕の癖に」
「21になる大学生が、17歳の高校生に駄々こねるんじゃないわよ」
確かに拾ってもらった恩はあるけど、それはそれ。これはこれ。
大企業の坊ちゃんだからって甘やかしてちゃ、ロクな大人にならないわこいつ。
こいつのおじさまおばさまからは「好きにやっちゃってよし」とお許しをいただいてることだし。
将梧がおじさまの跡を継ぐ頃までには立派な社会人として世に出せるよう、
性根をたたきなおします、って約束した身としては、ね。
「ほら。チョコアイスはまた次に用意しておくから、
朝食食べちゃいなさいよ。将梧、お昼に約束あるんでしょう?」