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僕は絵しか描けない

第1章 似顔絵

「へぇ……あんたが、ね?」

無遠慮な視線を上から下まで向けて詩子さんはせせら笑う。

「あ、あの……」

詩子さんは妹尾さんと制服を着ているところを見ると、学校は同じはずだ。

不良とは違うタイプに着崩した制服や、ショート過ぎる髪型や個性的なアクセサリーを見てそこら辺の人とは違う空気を感じていた。

もっとはっきり言ってしまえば個性的過ぎてもっとも苦手なタイプの人だ。

「スケブ……」

「は、はい?」

「スケブ見せてって言ってるの」

「は、はいっ」

慌てていつも持ち歩いているスケッチブックを鞄から出すと、詩子さんは引ったくるように奪った。

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