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僕は絵しか描けない

第1章 似顔絵

「ここだよ」と言って妹尾さんが入っていったのは世界規模のチェーンでお馴染みのハンバーガーショップだった。
今は特にこの味に会いたい気分ではない。

何も喉を通りそうになかったのでコーラだけを頼み、妹尾さんのあとをついていく。

「ひなたっ!! 遅いっ!!」

「ごめん、詩子(うたこ)。お待たせ!!」

妹尾さんは笑って謝りながら詩子と呼んだ女子の隣に座った。

「へっ……あの……」

告白は?


「紹介するね。私の親友の丹羽詩子(にわうたこ)。この人が天才絵師の黒沢慎二君」

何がどうなのかさっぱりわからない僕はそうとう間抜けな顔をしていたに違いない。

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