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僕は絵しか描けない

第1章 似顔絵

「ふぅん……」

口を尖らせながら詩子さんは僕の絵を見る。

機嫌でも損ねたのかと思ったが、どうやら口を尖らせるのは彼女の癖なんだと気付いた。

「ま、いーんじゃない?」

偉そうな上から口調でそう言うとスケブを返してきた。

「個性はないけど」

上から口調は慣れていたが、絵について無個性を指摘されたのは久々で思わずムッとした。

「ちょっと詩子ぉ」

「あの……妹尾さん……これはいったい……なんなんでしょうか?」

詩子さんは放っておいて妹尾さんに尋ねる。

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